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イタカ
イタカ・アワーズの話を読むと、まさにネバーランドだ、という気がしてくる。少なくとも15年前から人々が“ほぼ”お金なしで生活することができているなんて!だが、イタカは現実に存在する。しかもそれは、オデュッセウスの出身地であるとホメロスが語る島ではない。ニューヨーク州に存在する小さなコミュニティーのことである。リベラルな強い伝統があり、数年前から、世界で最も長い歴史があり、また機能性に優れた地域通貨(補完通貨)の模範のひとつとなっている。実際このモデルは合衆国内80以上のコミュニティーに普及し、日本、カナダ、オーストラリアにも広がっている(中国政府も研究を進めている)。 発案者ポール・グローバーはホームぺージ上(http://www.ithacahours.com/)で、1991年からイタカでは10万5千ドルの地域通貨が発行されたと伝えている。イタカの住民は、この通貨の値を彼らの地区トンプキンス・カウンティの平均給与額に定めた。 1アワーズ(イタカの通貨の単位名称)で、10ドルに相当する品物やサービスを買うことができる。希望すれば換金も可能であるが、組合員内の交換行為は有益であるためにシステムの機能は継続する。例えば専門的なサービスの場合など、例外は存在する。(イタカの歯医者は1時間1アワーズ以上受け取ることができる。)しかしながらポール・グローバーが様々な集まりの度に強調するように、アワーズを利用する人々は通常、和を大切にしている。これがイタカ・アワーズの強みなのである。共同体通貨は交換の道具として以上に、特に人間関係の媒体として価値がある。地域の生産性が高まるのはもちろんだが、なによりも社会関係が強化される。 グローバーはアワーズの人間関係的価値を説明する際、イタカで印刷される紙幣を非常に大切にしている。様々なサイズの紙幣にはそれぞれ、共同体の理想が表現されている。子ども、自然資源、自然の美、(アフリカ系アメリカ人のような)少数派の尊重。組合員のグループ内でのみ流通するので、帰属意識が高まるとグローバーは言う。また楽しく創造的であり、イタカのアワーズ生活を題材にした漫画にも表れているように、空想力が刺激される(http://www.ithacahours.com/5months.html)。 社会的な利益のみではない。経済的利点もある。証拠として300店舗以上の店主が、商品やサービスの売買にあたりアワーズを採用しており、協会のデータベースへの登録者は1500名を超える。つまり、現実的な利点のあるもうひとつの通貨というわけだ。 このようにして、イタカではアワーズを使ってレストランで食事をし、有機栽培農家から野菜を買い、車、家の屋根、庭の配管を修理し、マッサージを受け、ベビーシッターを利用し、家を借りることさえ出来る。まさに社会的公正を観点に、共同体内の社会活動を行う団体に発行したアワーズの10%を再分配することを、協会は規約で定めている。 イタカでは、誰にとっても利点があると言える。小さな商店にとっては地元の商品・サービス業の保護となり、農家にとっては“通常”の市場からすれば夢のような時給10ドルを受け取ることができ、中小企業は利息のないアワーズでの借入金を利用して、事業を始めることができる。
(23/06/2006)
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